抄録
“プロバイオティクス”という言葉とともにプロバイオティクス製品が我々の日常生活の中で極めて一般的なものになろうとしている.今日にみるこのプロバイオティクスの普及は国内にとどまらず,グローバルな傾向であり,その背景には人々の科学的な情報に基づく健康への関心の高さがあると思われる.現時点であらためて,このプロバイオティクスの普及の背景となった日本でのプロバイオティクス製品の誕生の背景からプロバイオティクスのコンセプトと定義の変遷,そしてプロバイオティクスに期待される機能性については,整腸作用から出発して,発酵乳,ヨーグルトのような食品,あるいは菌末を主体とするサプリメントとしてのプロバイオティクスの多方面にわたる医学的な展開についてサイエンス的な側面を中心に議論する.最後に,今後のプロバイオティクスの方向性に影響を与えると推測されるヘルスクレイムの法的な規制も含めて,プロバイオティクスの将来を考えてみたい.