腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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ISSN-L : 1343-0882
25 巻, 3 号
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総 説
  • 梅﨑 良則
    原稿種別: 総  説
    2011 年 25 巻 3 号 p. 157-164
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/06
    ジャーナル フリー
    “プロバイオティクス”という言葉とともにプロバイオティクス製品が我々の日常生活の中で極めて一般的なものになろうとしている.今日にみるこのプロバイオティクスの普及は国内にとどまらず,グローバルな傾向であり,その背景には人々の科学的な情報に基づく健康への関心の高さがあると思われる.現時点であらためて,このプロバイオティクスの普及の背景となった日本でのプロバイオティクス製品の誕生の背景からプロバイオティクスのコンセプトと定義の変遷,そしてプロバイオティクスに期待される機能性については,整腸作用から出発して,発酵乳,ヨーグルトのような食品,あるいは菌末を主体とするサプリメントとしてのプロバイオティクスの多方面にわたる医学的な展開についてサイエンス的な側面を中心に議論する.最後に,今後のプロバイオティクスの方向性に影響を与えると推測されるヘルスクレイムの法的な規制も含めて,プロバイオティクスの将来を考えてみたい.
  • ―培養法からメタゲノム解析まで―
    藤澤 倫彦, 大橋 雄二
    原稿種別: 総  説
    2011 年 25 巻 3 号 p. 165-179
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/06
    ジャーナル フリー
    健常なヒトや動物の腸内には多種多様な細菌が存在している.これら細菌の生態や機能についての検討を行うに当たっては精度の高い検出法を用いることが基本である.現在まで,これら細菌叢を検索するためのEG寒天培地やBL寒天培地といった非選択培地および種々の高感度選択培地,ロールチューブ法,嫌気性グローブボックス,Plate-in-bottle法といった腸内に優勢に存在する高度嫌気性細菌検出のための手段が開発されてきた.一方,近年における分子生物学の進展に伴い,FISH法,PCR法,クローンライブラリー法,DGGE法,TGGE法,T-RFLP法,メタゲノム解析といった細菌遺伝子をターゲットにした腸内細菌叢検索法も用いられてきている.本稿では,腸内細菌叢検索手技の歴史的変遷と現状についてその概略を述べた.
報 文
  • 河合 光久, 瀬戸山 裕美, 高田 敏彦, 清水 健介, 佐藤 美紀子, 眞鍋 勝行, 牧野 孝, 渡邉 治, 吉岡 真樹, 野中 千秋, ...
    原稿種別: 報  文
    2011 年 25 巻 3 号 p. 181-187
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/06
    ジャーナル フリー
    便秘傾向で60歳以上の健常成人男女58名(平均年齢68.8±5.3歳)に,Bifidobacterium breveヤクルト株が製品1個あたり1.0×1010 cfu含まれるはっ酵乳(商品名 ミルミル)を連続4週間摂取するオープン試験を実施した.被験者は排便日数が週に3から5日で,便の硬めな(便の水分含量が70%未満)人を選択した.はっ酵乳(試験食品)の4週間摂取は,排便量の増加を伴った排便回数および排便日数の有意な増加を示した(各々p<0.0001).さらに3日間以上連続で排便のなかった被験者の割合も試験食品摂取により低下した(p=0.013).しかし,便の硬さを表す便性状スコア(Bristol stool scale)の評価では,試験食品の摂取によって平均スコアに変化は認められなかった.症状の程度を5段階で評価した排便時の症状および腹部症状スコアに対し,試験食品はいきみおよび残便感の平均スコアを低下し(各々p=0.022および0.0002),症状の軽減が示唆されたが,腹痛および腹部膨満感のスコアには顕著な変化はみられなかった.色素を経口摂取してから便中に色素が検出されるまでの時間(腸管通過時間)を観察したところ,色素の滞留時間は摂取前後で変化はみられなかった.以上の結果より,連続4週間のB.breveヤクルト株を含むビフィズス菌はっ酵乳の摂取は,便秘傾向な60歳以上の健常な男女において排便量の増加を促し,排便頻度の増加および排便リズムを安定化させる便秘改善効果が示唆された.また,排便時のいきみや残便感の症状を改善する可能性も示唆された.
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