腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
Print ISSN : 1343-0882
ISSN-L : 1343-0882
総  説 <特集:腸内細菌叢Microbiotaの分子生物学的解析法の成果と未来>
多重染色FISH法による腸内フローラ解析
高田 敏彦角 将一野本 康二
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 29 巻 3 号 p. 123-134

詳細
抄録

複雑な腸内フローラを正確かつ詳細に解析するために,種々の分子生物学的手法が開発されている.Fluorescence in situ hybridization(FISH)法は,形態を保持したまま細菌を検出するため,細菌の空間分布解析に有用である.さらに,複数の標識プローブを同時に用いる多重染色FISH法は,腸管局所における細菌の構成,分布を同時に解析できるため,通常のFISH法よりも複雑な腸内フローラ解析が可能である.我々は,ヒトの糞便から分離される7種のBifidobacterium属菌種を同時に検出できる多重染色FISH法を開発した.さらに,マウス盲腸粘膜組織を用いて,多重染色FISH法により腸管粘膜細菌叢を解析するための至適条件を構築した.多重染色FISH法により炎症性腸疾患患者の糞便および腸管粘膜細菌叢を解析した結果,両者では細菌構成が異なることを見出した.今後,細菌の機能遺伝子を標的とするFISH法の開発により,ヒトの健康と疾病に関与する腸内細菌の解明に繋がることが期待される.

著者関連情報
© 2015 (公財)日本ビフィズス菌センター
次の記事
feedback
Top