腸内細菌学雑誌
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総 説 <特集:腸内菌叢はコントロールできるか?>
発酵食品の乳酸菌による腸管炎症抑制効果と下痢型過敏性腸症候群様症状に対する有効性と腸内菌叢の変化
内藤 裕二髙木 智久鈴木 重德福家 暢夫
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2020 年 34 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

京都の伝統的な漬物である「すぐき」から分離された乳酸産生菌Lactobacillus brevis KB290が,ビタミンA併用投与によりマウス腸炎モデルの腸炎発症進展を抑制することを明らかにしてきた.この腸炎抑制効果には,大腸粘膜において炎症抑制的に作用するCD11c+マクロファージと炎症促進的に作用するCD103樹状細胞の比率を増加させることが関与していた.さらに,Lactobacillus brevis KB290とβ-カロテン併用療法による下痢症状に対する有効性を検証するために,下痢型過敏性腸症候群様症状の日本人を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験を実施したところ,排便頻度が低下し,腹部症状による労働生産性の低下を改善した.また,糞便細菌叢の解析でBifidobacterium属が有意に増加し,Clostridium属が有意に減少することが示された.

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© 2020 (公財)腸内細菌学会
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