加齢による腸内細菌叢の変化は周知の事実であり,それにともない高齢者ではインフラメイジングと呼ばれる低応答の慢性炎症の持続や免疫応答の低下が認められる.早期の経口免疫寛容の破綻はインフラメイジング誘導の一因と推測され,その後の腸管粘膜免疫応答の低下を引き起こしている可能性がある.高齢者の腸内細菌叢の変化と免疫応答の低下は密接な関係があると考えられるため,高齢者において致死率が高い呼吸器感染症を防ぐには,腸内細菌叢の維持,若返りが必要であるが,その実施は困難である.経鼻ワクチンは,加齢や腸内細菌叢の変化による影響は少なく,新規アジュバントの開発による感染防御可能な粘膜免疫応答の誘導が示唆されている.高齢者における腸内細菌叢の改善とその維持,新規粘膜ワクチンによる感染症の予防は健康寿命を伸ばし,持続可能社会の構築に貢献すると考えられる.