腸内細菌学雑誌
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総 説
腸内フローラモデルとしてのゼブラフィッシュの有用性
大坪 和香子横井 勇人
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2024 年 38 巻 4 号 p. 191-201

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抄録

ゼブラフィッシュは脊椎動物の実験モデルとして,ヒトや動物にも共通する発生や代謝,各種疾患に関連する重要因子の機能解明に寄与してきた.ゼブラフィッシュは腸内フローラの研究モデルとしても注目されており,特定の腸内細菌に対する宿主の免疫や代謝,行動学的応答などが幅広いアプローチで研究されている.特に,糖尿病などの疾患モデルや特定の病原菌による感染症モデルを用いた研究では,創薬のターゲットとなるような重要因子や宿主-腸内細菌相互作用の役割が解明されている.腸内フローラモデルとしてのゼブラフィッシュは,生きた状態で体内の腸内細菌や免疫細胞を観察・モニタリングできるなど,哺乳動物モデルにはない利点がある一方で,飼育水の影響など魚類に特有の留意点も存在する.また,魚類は国内法では実験動物のカテゴリーに含まれないが,国際的に魚類に対してもアニマルウェルフェアへの意識が高まっていることから,配慮を持って取り扱うことが望まれる.本総説では,動物実験モデルとしてのゼブラフィッシュの特色を概説し,ゼブラフィッシュを宿主として利用した最近の腸内フローラ研究の展開を紹介する.また,実験動物代替法としてのゼブラフィッシュ研究の考え方や国内外における魚類モデルの倫理的取り扱いの違いについて解説したうえで,腸内フローラ研究における魚類モデルの有用性と展望を解説する.

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© 2024 (公財)腸内細菌学会
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