抄録
【目的】東日本大震災の津波の被害を受けた岩手県,宮城県,福島県の沿岸部在住のアレルギー児が避難所への避難の有無によってアレルギー症状の出現に違いがあったかどうかを検討する事を目的とした.【対象と方法】対象は岩手県,宮城県,福島県の沿岸部在住のアレルギー児の保護者.各地域の行政機関を訪問してアンケート調査を依頼し同意が得られた保護者にのみ回答してもらい返信用封筒にて回収した.これらの症例について,避難所に避難した症例と避難しなかった症例について,喘息発作やアトピー性皮膚炎の増悪などを比較検討した.【結果】気管支喘息に関して発作を起こした症例は,避難所に避難した症例で有意に多かった.アトピー性皮膚炎に関しても,湿疹が悪化した症例は避難所に避難した症例で有意に多かった.【考察】今回の検討から気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー児は避難所に避難した症例でより症状が悪化していた事が判明した.大災害時においても環境悪化に弱いアレルギー児が良い環境で避難生活ができる対策が望まれる.