腸内細菌学雑誌
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水分摂取量が便秘症状を有する健常成人の腸内細菌叢に及ぼす影響
岡山 加奈沼田 由美荒川 満枝
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2026 年 40 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

本研究では,RomeⅢを基準とした健常成人における便秘有訴者の割合を把握するとともに,便秘有訴者の水分摂取量が腸内細菌叢へ及ぼす影響を解析することを目的とした.健常成人195名を対象とした自記式質問紙調査により便秘有訴者を把握し,そのうち同意の得られた便秘有訴者を対象に,クロスオーバー比較試験の形式で水分摂取量と腸内細菌叢の解析を行った.便秘有訴者の割合は9.7%であり,水分摂取量と腸内細菌叢の解析を行った4名において通常水分量摂取時は推奨水分量の85.7%であった.便秘有訴者が推奨水分量の摂取を試みた際は163.2%となり,排便回数,排便量,便中の水分量は,通常水分量摂取時と比較して増加傾向であったが,統計上の有意差はなかった.腸内細菌叢においては,推奨水分量摂取時でBifidobacterium属,SMB53属,Akkermansia属が増加し,Ruminococcus属は減少した.RomeⅢを基準とした便秘有訴者の割合は,国民生活基礎調査報告の便秘有訴者率(人口千対)35.9より高く,便秘有訴者が推奨水分量以上の摂取を試みることで有益菌の増加を伴う腸内細菌叢の変化が生じ,人が本来備える力で腸内環境を整え得ると示唆された.

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