抄録
新生児における腸内フローラの形成と推移に, ガラクトオリゴ糖 (GOS; 70%ガラクトシルラクトース (GL), 25%ラクトース, 5%グルコース) がどのような影響を及ぼすかを明らかにするために, 無菌マウスを用いて新生児に代表的な腸内細菌9菌種Staphylococcus epidermidis 2414, Escherichia coli 128, Enterococcus faecalis 132, Lactobacillus salivarius ATCC 11741T, Clostridium perfringens ATCC 13124T, Bifidobacterium brave YMM-1, Bacteroides vulgatus YM 18, およびEubacterium aerofaciens 151とClostridium paraputrificum VPI 6372を記載順に1週間隔で経口投与して, 糞便内フローラの形成および酵素活性の追跡検討を行った. マウスには0%または5%GOS添加AIN 93G飼料を与えた. その結果, S. epidermidisはGOS摂取に関係なく, E. coli, En. faecalisの定着によつて菌数が低下した. GOS群ではEn. faecalisの菌数が, Eub. aerofaciens, C. paraputrificumの定着により有意に低下した. L. salivariusはGOS群でのみ定着した. C. perfringensはGOS摂取において, B. vulgatus, Eub. aerofaciensおよびC. paraputrificumの定着後, 顕著に減少した. GOS群のBif. breveの菌数は実験期間を通して対照群と比べ約100倍も高かった. また, 実験終了時の各菌種の占有率では, GOS群でBif. breve, E. coli, L. salivariusの占有率が高まった. その他の菌種は低下した.
in vitroにおける糖資化性試験ではBif. breveがGLの資化性が最も強く, En. faecalis, B. vulgatus, C. paraputrificumも資化性を示したが, その他の菌種はGLを資化しなかった. GOS摂取により糞便, 盲腸内容pHの低下傾向が認められた. 糞便中酵素活性測定試験では, GOS摂取群でのE. coli, B. vulgatusの定着後に, β-ガラクトシダーゼ, α-ガラクトシダーゼ, β-グルコシダーゼ, β-グルクロニダーゼにおいて, 酵素活性上昇が認められた. GOSは新生児の腸内フローラの形成と菌種間の相互関係に強い影響を及ぼすことが示唆された.