抄録
本論文では,経済物理学の分野で強力な解析法の1つであるランダム行列の手法を用いて,平均分散モデルの最適解の典型的な振る舞いを解析する.この解析の中で,リスクと集中投資度の2つの評価指標を導入し,先行研究に基づいて均等投資型のときの2つの評価指標を評価する.特定のポートフォリオに対するリスクと集中投資度の期待値は容易に評価することができるが,最適ポートフォリオに対する評価指標の期待値を直接評価することは容易ではない.そこで我々は,ポートフォリオ最適化問題に対するランダム行列の解析法の適用可能性を示すために,漸近固有値分布としてよく知られたMarcenko-Pastur則を用いて2つの評価指標の典型値を評価する.さらに数値実験を用いて既存手法と比較し,提案手法の有効性を検証する.