2023 年 74 巻 2 号 p. 40-62
燃料電池自動車の普及における課題は,燃料である水素の効率的なサプライチェーンネットワーク(HSCN)の設計であり,これを実現するために,ガソリンと同じ設備を利用できる有機ハイドライドという水素の輸送方法が開発されている.しかし,有機ハイドライドはまだ新しく,これを考慮したHSCNの研究は行われていない.本研究では,有機ハイドライドを含む3通りの輸送方法と輸入を含む3通りの入手方法を考慮したHSCNを混合整数線形計画法としてモデル化し,有機ハイドライドの有効性を検証した.実験結果より,港,脱水素プラント,水素ステーションが近くにある場合,有機ハイドライドはHSCNの効率を向上させると言える.