日本経営工学会論文誌
Online ISSN : 2187-9079
Print ISSN : 1342-2618
ISSN-L : 1342-2618
原著論文(事例研究)
配膳ロボットシステム導入による飲食サービス業の労働生産性改善に関する研究
新村 猛一刈 良介大隈 隆史大浦 修一
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 74 巻 4 号 p. 167-176

詳細
抄録

本研究では, 飲食サービス業の労働生産性向上を目的として, Automate Guided Vehicle (AGV) を用いた配膳ロボットシステムを開発し, 実店舗に導入した.飲食サービス業の労働生産性はサービス産業の中でも最も低いため, 同産業の労働生産性向上は喫緊の課題である.同システムの導入に伴い, 従業員はロボットとの協働を前提としてオペレーションの変更を実施し, 配膳作業を人間からロボットへと移管した.その後, 同店の店長は週間稼働計画を変更し, 投入労働量の削減を図った.その結果, 同システムの導入によって労働時間は削減され, 労働生産性を向上することが可能であることがわかった.また, 同システム導入によって削減される人件費で, 同システムの設備投資額を法定償却期間内に回収可能であることがわかった.さらに, 同システム導入によって従業員のモチベーションや連携向上にも寄与することがわかった.一方, 飲食サービスを含むサービス産業にロボットを導入するためには, 小規模設備でも導入可能な程度にロボットの価格を引き下げる必要があること, 人と協働するロボットに要求される安全性を確保しつつより高速で稼働可能なロボットを開発する必要があること, 多岐にわたる人の作業を代替することが可能な多能工ロボットの開発が, サービス提供現場導入のために必要であることがわかった.

著者関連情報
© 2024 公益社団法人 日本経営工学会
前の記事
feedback
Top