日本経営工学会誌
Online ISSN : 2432-9983
Print ISSN : 0386-4812
ポアソン変数の差の検定を正規分布近似検定で行なうときの近似度に関する研究
岩崎 日出男坂元 保秀米虫 節夫菅野 正雄
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 28 巻 2 号 p. 147-153

詳細
抄録
ポアソン分布の母平均に関する検定(H_0 : λ=λ_0)に用いる適正な正規分布補正量は参考文献〔1〕で検討したが, 本報では二つのポアソン変量x_1,x_2の差の検定(H_0 : λ_1=λ_2)に関してx_1-x_2の真の分布を用いた直接確率検定と正規分布近似検定の間で4次モーメントまで一致させることにより, より近似度の高い統計量を求めた.設定過誤率α=0.05および0.01において片側検定(H_1 : λ_1<λ_2またはH_1 : λ_1>λ_2), 両側検定(H_1 : λ_1〓λ_2)いずれの場合も分布の尖鋭度を考慮した統計量およびAnscombeの多変換法の連続補正を考慮した統計量はともに直接確率計算における検定結果とほぼ同一判定を得ることができる.Yatesの連続補正を用いない近似検定は第1種の過誤を過大に評価する傾向にあり, この統計量を検定に用いるのは好ましくない.また本報で提案している尖鋭度を修正する補正量は表1からも明らかなようにそれほど大きな値ではない.したがって実用的にはYatesの連続補正のみ用いる正規分布近似検定でも十分であると考えられ, この連続補正はH_0 : λ_1=λ_2の検定を目的とする立場においては有効であることが判明した.この結論は2×2分割表におけるYatesの補正の検討である参考文献〔2〕のMantel, Greenhouseの主張と一致する.
著者関連情報
© 1977 公益社団法人 日本経営工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top