抄録
本稿では, 工業実験における多変量カテゴリカル・データ解析について考察する.工業実験において, 生産工程のレベルに影響を与える制御因子の効果(位置効果)と生産量のばらつきに影響を与える制御因子の効果(散布度効果)を分離させて識別する.その際, カテゴリーに順序をもつ分割表のモデル解析の立場を踏襲するため, 位置-散布度型スコアをもつ連関モデルを提案する.従来, モデル解析は, 計算の困難さゆえに, 実用性に欠けるとされてきた.しかし, コンピュータの優れた能力を活用すれば, 品質改善の観点から, 制御因子の位置と散布度効果に影響を与える最適条件を決定することもできる.