企業合併の効果を定量的分析モデルによって推定する際, 一般に, この効果は年度あるいは期ごとに与えられる.通常, 期待される結果は, 単一期の効果ではなく複数の期を総合的にみた場合の効果である.すなわち, 時間相(mode)が残るため, 合併が成功だったか否かを判断するには, 時間相の集約化が必要となる.本研究では, 合併効果の分析の際の被説明変数に, 時間相の集約化のためのパラメータを導入したモデルを提案する.そして, 実際に合併を行った企業のデータを用いて, 提案した時間相の集約化による合併効果のモデルの実証分析を行い, その妥当性・有効性を検討する.さらに, 合併効果の推定値における時間相を集約化するための方法として, 企業外部者の評価による方法と, 提案した方法を取り上げ, 2つのアプローチの特徴・問題点を比較・検討する.
抄録全体を表示