抄録
外観, やわらかさ, 色合いといった数値形式で表現できない官能品質特性を工程で管理するとき, やむなく計数型管理図が用いられる.これに対し, WangとRazは品質特性をあらかじめ定められたいくつかの言語変数の中から選択し, その言語値に対応するファジィ集合を表現するメンバーシップ関数の代表値をその品質特性を表す値として用いることにより人間の主観が介在するあいまいな品質を管理する管理図を提案した.しかし, 管理限界の決定に合理性を欠いており, またばらつきを管理する管理図を構成していないという問題点がある.そこで本研究では, 彼らの管理図をより発展させ, ファジィ理論と数理統計理論に基づいた言語データ用管理図の設計法について議論する.本研究で提案される管理図は言語データの背後に同一の確率分布を想定し, サンプル平均と標準偏差について両側100(1-α)%信頼区間によって管理限界線を決定し, 言語データを管理する.また, この管理図の設計法を併せて示す.