マリンエンジニアリング
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燃焼容器内における噴射ノズルのR取り噴口部形状が燃料噴霧特性に及ぼす影響に関する数値解析及び実験的研究
Trinh Ngoc Tuan岡田 博塚本 達郎大江 賢二岩澤 勝三
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2007 年 42 巻 4 号 p. 641-648

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抄録

燃料噴射ノズル内の流量特性は、噴口入口形状に影響され、燃料噴霧と燃料・空気混合気の形成過程に強く影響を及ぼす。一方、燃料噴射圧は、機関性能の向上と、排出微粒子を低減するためにますます高くなっている。しかしながら、噴射圧の上昇は、ノズル噴口部周辺に、より高い応力とキャビテーションを発生させる。そしてこれらの要因によって噴射ノズルの内部形状を変形させることになる。
この研究の主眼は、噴射ノズルの入口形状が燃料噴霧特性に及ぼす影響を数値解析及び実験的に調べることである。この目的のためにR取り有り・無し噴射ノズルを製作した。また、2相流と噴霧の数値解析のために弁リフトと噴射量及び実燃料噴射圧をインプット圧力として、計算条件に取り込んだ。そして、高速ビデオカメラを用いて、噴射ノズルの入口形状 (噴口部のR取りの有無) による燃料噴霧角に及ぼす影響を調べた。その結果、 (1) 同一燃料噴射量において、燃料噴射圧力36MPaのときにR取り有りノズルの噴霧角はR取り無しノズルのそれより8~14度大きくなった。
(2) 数値解析の結果、R取り半径を大きく取ると、無次元r=R/D (R: R取り半径、D: ノズル噴口径) =0.5までは、質量流量は直線的に増加 (約40%まで) するが、r=0.5~1.25では増加率がほぼ一定になることなどが判った。 (3) 燃料噴霧角は雰囲気圧の影響を大きく受けるとともに噴射後の噴霧角は実験値が数値解析値より少し大きくなったがその両者の傾向は、よく一致した。
これらの結果から複雑な燃料噴霧の特性を調べるためには、実験結果に加えて数値解析手法を用いることが重要である.

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© 社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
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