2003 年 2 巻 1 号 p. 57-62
近年,外国語学習教材にコンピューターやインターネット等の「ニューメディア」を活用する流れが非常に強い.しかし,その事実は,単なる「斬新さ」にのみ着目した教材の多産を招き,ニューメディアの外国語学習における意義に対する具体的な議論を後回しにしている状況を生み出している.そこで,本研究は,先ず,外国語学習の中でも特に重要である語彙習得,その中でも特に使用頻度の高い「多義語」の学習において,ニューメディアの大きな特徴の1つである,「イメージ」の重要性を,認知意味論の観点から考察する.その後,ニューメディアの特性を生かしたイメージ表示の1つの例として,多義語である前置詞のoverとaboveの持つイメージ図式(イメージスキーマ)を提示した上で,今後のニューメディア利用の外国語学習教材の可能性を考察する.