情報メディア研究
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『源氏物語』(若菜上巻)の絵像について
綿抜 豊昭
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2004 年 3 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

『源氏物語』は,後世の文学作品にとどまらず,その他,工芸,絵画といった美術作品など日本の文化に大きな影響を与えている.その一端は,和本の扉絵にもみることができる.『源氏物語』は,各巻の名場面がそれぞれ絵像化され,巻によっては名場面が複数あるため,複数の絵像が作成された.それが『源氏物語』の場面を描いた絵にとどまるのか,その場面をふまえた新たな絵が描かれるなどしたかが,享受の面からの一つの評価になる.「若菜上巻」は後者である点で注目される.この巻では,柏木が女三宮をみる場面が絵像化された.それが和本の扉絵に使用されるようになる.その扉絵が,全ての人に「若菜上巻」と認識されたかはともかく,『源氏物語』に興味を持つ者には理解されたと思われる.今日,その扉絵が「若菜上巻」の絵像をもとにしていることを識別できることは,和書を扱う者にとっての基礎的知識の一つと考える.

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