日本食生活学会誌
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論文
地域在宅高齢者の食品選択動機と食の多様性および食品摂取との関連
加藤 佐千子長田 久雄
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2008 年 19 巻 3 号 p. 202-213

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抄録

  Y市およびK市の60歳以上の地域在宅高齢者に対して, 2007年6月~8月に, 食品摂取, 食品選択動機について調査し, 食品選択に対する認知が食品摂取に及ぼす影響を検討した。
  1) 男女ともに, 体によいことや栄養素が含まれることを重要であると捉えて, 健康や栄養認知に重みをおいた判断を行っていた。反対に, 価格や支度に要する時間の認知に重みをおいた判断は弱かった。
  2) 食品選択動機の認知は, 男性より女性の方が強く, 「栄養と健康」「感覚的快楽」は女性の認知が高かった。
  3) 男性では, 「栄養と健康」に対する認知が高いと, 「海そう類」の摂取頻度は高くなり, 「低カロリー」に対する認知が高いと, 「冷凍食品」の摂取が高くなり, 「卵」の摂取頻度は低くなると考えられた。また, 「入手の容易さ」に対する認知が高いと, 「惣菜」の摂取頻度は低くなると考えられた。
  4) 女性では, 「低カロリー」に対する認知が高いと「卵」の摂取頻度は低くなると考えられた。また, 「入手の容易さ」に対する認知が高いと「麺類」や「インスタント食品」の摂取頻度は高くなり, 「漬物」「大豆製品」の摂取は低くなると考えられた。「感覚的快楽」に対する認知が高いと「漬物」の摂取頻度は高くなると考えられた。
  以上より, 食品選択動機が, 食品摂取頻度に影響を及ぼすことが示された。

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© 2008 日本食生活学会
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