日本食生活学会誌
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研究ノート
カンボジア農村部における小学生の食生活
白井 睦子高村 一知
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2009 年 20 巻 1 号 p. 55-62

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抄録
  カンボジアの農村地帯にある小学校の児童の日常における食生活と健康状態について調査 (2006年2月~3月) を行った。調査対象は9歳~16歳の小学生274人 (男子119人, 女子155人) でる。その結果は以下の通りである。
(1) 1日の食事摂取回数は “3食以上” が61%, “2食” が39%であり, その中で摂食量が多いのは昼食で79%であった。また, 食品群別の調査では, 食肉類, 乳製品などのたんぱく質食品の摂取率が低かった。
(2) 身長と体重より算出したローレル指数の結果から, 男子の80%, 女子の71%がやせていた。同年齢の日本人の身長および体重と比較すると, 男女ともカンボジアの農村地帯の小学生の方が低値であった。また, 自分の体格についての意識調査では, やせているにも関わらず, “普通” と答えた児童が多かった。
  これらの結果からカンボジアの農村地帯の児童の栄養不足が示唆された。児童の発育・発達のためには, バランスの取れた栄養摂取が重要な課題であり, そのための施策が必要であることが明らかとなった。
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© 2009 日本食生活学会
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