食生活総合研究会誌
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幼児の生活習慣および食事歴と虫歯第1報
5, 6歳幼児の場合
森下 敏子
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1992 年 3 巻 2 号 p. 36-44

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抄録

幼児の虫歯発生と食生活, なかでも野菜摂取との関連について457名の5-6歳の幼稚園児を対象に父母に対しアンケート調査を行った.
1) 両親の虫歯になりやすい傾向と子供の虫歯数の関連を検討したところ, 母親が虫歯が多い場合, 子供も虫歯にかかりやすい傾向が認められた.
2) 母親が妊娠中に栄養に関心を示した家庭では, 子供の虫歯が有意に少ないことを認めた.
3) 両親の食べ物の嗜好において, 野菜を好む家庭では有意に虫歯が少ないことを認めた.
4) 乳児期の栄養では人工栄養よりも母乳栄養児に虫歯が多いことを認めた.
5) 離乳の時期では, 離乳開始の早い方が虫歯のすくないことを認めた.
6) 幼児期では3歳から5歳の間に虫歯にかかりやすく, 歯を磨く回数よりも, 磨き方に問題があることが示唆された.
7) 歯列の悪い子供に虫歯が多く, また, フッ素塗布を行っていない場合に有意に虫歯の多いことを認めた.
8) 間食の時間を決めていない子供では有意に虫歯の多いことを認めた.間食の種類ではプリンやホットケーキなどの軟らかく, 甘みのあるものを好む場合に虫歯が多く, 硬いものでは虫歯が少ない傾向が見られた.
9) 食べ物の嗜好では野菜を好きな子供に有意に虫歯の少ないことを認めた.
10) 野菜の種類ではジャガイモ, キャベソ, キュウリ, ニンジン, トマトを好む子供に虫歯が少ないことが認められた.調理法では野菜ジュース, サラダなど野菜の生食をよく行う家庭に有意に虫歯の少ないことを認めた.

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