日本食生活学会誌
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野菜類のクロロフィル含量とカロテノイド, ビタミンC・Eならびに無機質含量に関する比較研究
井上 弘明立石 亮木村 淑子小沢 裕子機部 勝孝野村 和成眞岡 孝至橋本 秀樹廣田 才之
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2003 年 13 巻 4 号 p. 271-278

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抄録
本実験では12種 (うち, 2種は2系統) の市販野菜を有色と淡色に大別し, クロロフィル, カロテノイド, ビタミンE, ビタミンCおよび無機質の含有量を分析して次の結果を得た.
クロロフィルはニソジンを除くすべてからかなりのフェオフィチンの含有が認められ, これらは生長期から収穫期に至り, 相当量のクロロフィルが分解されたことを示す. クロロフィルの分解程度の測定が困難であり, また, 測定値の明確な基準がなく, 有色, 淡色の区分けには成り難いことが明らかとなった.
以上の結果, β-カロテン当量から換算されるレチノール当量を有色, 淡色に区別する根拠になり得ることが分かった. なお, リコペンはトマト, ニンジンより検出され赤色を呈するが, レチノール当量にはならない.また, ピーマンより検出されたカプソルビン, カプサンチンも橙赤色であるが, レチノール当量にならない.
ビタミンEはシソ, シュンギク, ニラ, パセリおよびホウレンソウなど有色の葉菜類に多い. トマト, ピーマン (果菜類) に少ないことがわかった. ビタミンCは未熟果の緑色の時期から蓄積されたものがかなりの含有量になったものと推定された.すなわち, クロロフィルの減少に伴いエンジオール基をもつビタミンCが増大することが明らかとなった.
無機質としては, K, Caが他より桁違いに多く平均Kでは80%, Caでは18%と相対的に有色のものに多い. これについで, Mgが多く, 全般的に無機質含量は淡色よりも有色 (緑黄色) 野菜に多かった.
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