日本食生活学会誌
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タケ幼少体に含まれるビタミンB12類似体の簡易同定と含有量の測定
田宮 克義中井 朋則山内 大輔久保田 康
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2003 年 14 巻 3 号 p. 215-220

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抄録

ビタミンB12類似体が含まれると考えられている高等植物であるタケ幼少体を用いて, ビタミンB12類似体を簡便な同定方法により検出できた.
抽出緩衝液に0.1%KCNを加え, 陰イオン交換カラムおよび逆相カラムを用いてビタミンB12類似体をタケ幼少体から分離した. 指標として用いたシアノコバラミソと同じ溶出時間の画分中に, 361nmと550nmで吸収極大波長が観察され, 特に361nmで非常に顕著に吸収スペクトルが観察されたことから, この画分にシアノコバラミソが含まれていると考えられた. 質量分析を行ったところ, シアノコバラミン (1331, 42) と非常に近い分子量のシグナル (1346. 38) が得られ, ここで紹介した方法で, シアノコバラミンを検出できると考えられた. さらに, 一般にビタミンB12類似体を含まないと考えられているイネ芽生え及びアスパラガス幼少体の粗抽出液を同様の方法において分離後, 最終的に得られた画分の200nmから600nmの範囲における吸収スペクトルを調べた結果, どちらの植物からもシアノコバラミンに特有な吸収極大波長は検出されなかった. このことから, これらの植物にはビタミンB12は含まれていないと考えられ'この分離方法はビタミンB12類似体の検出に有効な手段であると思われる.

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