三重県における粥占いを調査し, 稲作農業との関連について考察した.
1.粥占いは, 四日市から松阪までに分布しており, この領域は, 伊勢平野の稲作地帯とほぼ一致している.
2.占いの対象は, ほとんどが, 稲作の早稲, 中稲, 晩稲である.一部では, 麦, 小豆, 野菜類が加わっている.
3.粥占いはおそらく, 小正月に民俗行事として行われていたものが, 後になって, 五穀豊穣を願う神事としても行われるようになったと考えられる.
4.ある地域では, 小豆粥を用いて占いが行われている.小正月に小豆粥やぜんざいを食べて無病息災を願う風習があることとの関連が考えられる.