情報教育ジャーナル
Online ISSN : 2433-5703
Print ISSN : 2432-6321
原著論文
指導者との言語的コミュニケーションを通した学習者の身体動作の変化に関する実験的検証
立位と歩行の伝授における言語の効果に注目して
山田 雅敏
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ジャーナル 認証あり

2019 年 2 巻 1 号 p. 25-32

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抄録
スポーツや武道の世界では,技を伝授する際に言語が障害となる場合があることが指摘されている.一方で,認知科学的領域では,言語が技の獲得を促進する報告もされており,技の伝授における言語の効果については,未だ十分に検討されていない.そこで本研究では,指導者との言語的コミュニケーションを通した学習者の身体動作の変化に関して実験的検証を行い,技の伝授における言語の効果について考察することを目的とした.方法として,指導者から言葉かけにより指導を受けた学習者5名が,立位と歩行の実践により身体を動かした際の体感や感想などについて言語報告を行い,指導者がその言語報告を確認した上で,コメントを記述して言語的指導を行った.その結果,学習者1名は,実験前後ともに評価が高く,身体動作の変化が認められなかったが,学習者3名は,指導者の期待する身体動作へと変化する傾向が確認された.しかし一方で,学習者1名は,指導者の期待とはまったく異なる身体動作へと変化したことが確認された.考察から,言語は技の伝授に効果があることが示された一方で,その効果は個々人により差があり,さらに言語が逆効果となる可能性が示唆された.
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© 2019 日本情報教育学会
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