抄録
本研究では,イギリス下院文化・メディア・スポーツ委員会によるフェイクニュース分類の一つである「誤解を誘導する情報(Misleading content)」に焦点を当てた.架空のエピソードを用い,人物に対する評価(信頼・好感・親しみ)が援助行動意図に及ぼす影響を検討した.具体的には,人物A〜Eに対して抱かれる印象(評価)が,ランチ代を貸す行動(Wallet Help),コンタクトを探す手伝い(Contact Help),相席を承諾する行動(Shared Table)の3種類の援助意図にどのように関与するかを,重回帰分析により分析した.その結果,すべての人物・すべての援助行動において,人物に対する評価が有意な正の影響を及ぼしていた.すなわち,対象人物の評価が高いほど,その人物に対して援助的行動をとる傾向が一貫して強まることが明らかになった.