2021 年 33 巻 1 号 p. 49-62
本研究では、近江八幡のまちづくりにおいて中心的役割を果たした川端五兵衞氏の観光に関する言説を通じて、彼の観光に対する思想の解釈を行った。観光を否定する理由としては、流行性ニーズに基づくまちづくりを行うこと、町が物見の対象として扱われること、手段である観光が目的化することを回避するためであった。また、望ましい観光及びまちづくりと観光との関係に関しては、観光の対象とまちづくりの対象の一致、まちづくりの目標に基づく観光の定義づけ、住民と観光客の視点から標榜する町の対象範囲や施策の優先順位の明確化、そして、まちづくりの目標、目的と観光客像の整合を図ろうとしていたことが明らかになった。