2023 年 34 巻 2 号 p. 49-64
関係人口は、人口減少時代の新たな地域づくりの担い手として期待されているが、交流人口や定住人口との境界は曖昧である。そこで本研究では、関係人口の概念を整理し、交流人口が関係人口に変容するための要件やプロセスを明らかにした。仮説モデルを構築し、Webモニター調査のデータから、多重指標モデルによる共分散構造分析を行った。その結果、観光経験の自己拡大と現地交流が、地域関与意識の自己表現と利他心を醸成させ、地域への積極的な関わり意向を高めることを明らかにした。この結果から関係人口は地域関係者と協働し地域づくり活動にかかわることで、地域にとっての新たな主体になりえる存在であるとの見解を示した。