観光研究
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34 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • 半澤 成美, 横関 隆登
    2023 年 34 巻 2 号 p. 5-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は、グリーンシーズン営業を行うスキー場を対象に、そこで提供される展望施設の特徴を明らかにし、スキー場のグリーンシーズン営業の展望コンテンツの造成方法についての示唆を得ることとした。そのために既往研究を基に展望施設の概念を移動環境、滞在環境、利用料金の3つの要素から構築した。その展望施設モデルを用いて把握調査を実施した結果、16の視点で、その特徴を把握することが出来た。展望施設の構造を見出したことで、展望コンテンツの改良や創出に有益な基本的な論点を明らかにできた。

  • ―ブラジル北東部の2つの調査地における比較―
    髙橋 沙織, 佐々木 俊介, 佐野 洋輔, 井上 真
    2023 年 34 巻 2 号 p. 17-27
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文の目的は、自発型CBTに属する個人的CBTと組織的CBTを展開する2事例を対象に、CBTによる社会関係資本への影響を明らかにすることである。そのため、ブラジル北東部海岸地域の2つの調査地で半構造化インタビューと非構造化インタビューを実施した。調査の結果、住民同士の関係や社会関係資本の醸成に関してCBTがそれぞれのコミュニティに異なる影響を与えていることが明らかになった。また、CBT協会の有無がコミュニティ全体の人間関係への意識やリーダー層の誕生に影響を与えることが示唆された。

  • ―音楽・ステージ系イベントの地域的特性と夜間経済との関係―
    杉本 興運
    2023 年 34 巻 2 号 p. 29-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、ライブ・エンタテイメント(LE)の全国的動向を、イベントの開催地域や開演時間の点から追求した。具体的には、大量の音楽・ステージイベントの個票データを分析し、イベント開催件数の地域集中度、イベント開演時間の分布とその地域差を明らかにした。また、サブジャンルや会場規模によるイベント開演時間の違いについても分析した。LEイベントは、空間的には一部の地域に集中していた。そして、時間的には平日夜間や休日昼間へ集中する傾向がみられたが、サブジャンルに細分化するとそれぞれで特徴的な時間分布をみせた。これらの結果から、LEの地域的特性や夜間経済との関わりについて考察した。

  • ―観光経験による関与意識醸成と地域への継続的な関わり意向との関係―
    田原 洋樹, 敷田 麻実
    2023 年 34 巻 2 号 p. 49-64
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル オープンアクセス

    関係人口は、人口減少時代の新たな地域づくりの担い手として期待されているが、交流人口や定住人口との境界は曖昧である。そこで本研究では、関係人口の概念を整理し、交流人口が関係人口に変容するための要件やプロセスを明らかにした。仮説モデルを構築し、Webモニター調査のデータから、多重指標モデルによる共分散構造分析を行った。その結果、観光経験の自己拡大と現地交流が、地域関与意識の自己表現と利他心を醸成させ、地域への積極的な関わり意向を高めることを明らかにした。この結果から関係人口は地域関係者と協働し地域づくり活動にかかわることで、地域にとっての新たな主体になりえる存在であるとの見解を示した。

  • ―大分県と鹿児島県の比較分析―
    堀 桂子, ヴァファダリ カゼム M, クーパー マルコム JM
    2023 年 34 巻 2 号 p. 65-84
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、日本の温泉地におけるヘルスツーリズム形成への示唆を得るため、大分県と鹿児島県のヘルスツーリズム政策、医療機関とウェルネス関連組織の連携によるヘルスツーリズムと政策による影響を比較分析した。大分県ではウェルネス効果の検証のために医療機関とウェルネス関連組織の連携を進めてきたが、連携が停滞している。他方、鹿児島県ではウェルネスツーリズムの商品化を促した結果、ウェルネスによる観光振興と国際的な医療機関を経由する観光振興が共存していた。エビデンス構築の過程を観光振興に取り入れ、医療機関とウェルネス関連組織の国際化がそれぞれに促されるような仕組みを形成することを提案する。

研究ノート
  • ―大学生を対象とした埼玉県川越市における街歩きの場合―
    鮫島 卓
    2023 年 34 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、不便が観光者のポジティブ感情にどのような影響を与えているかについて検証し、情報技術と観光者の心理状況の関係性について考察するものである。調査では、埼玉県川越市で被験者22名を「便利-スマートフォン利用群」、「不便-地図利用群」、「超不便-自力群」の3群に分けて街歩きの実験を行い、直後に質問票調査を行った。その結果、地図利用と自力の被験者は、スマートフォンのナビゲーションを利用した被験者に比べてポジティブ感情が高く、不便が観光者のポジティブ感情にプラスの作用をしていることが示された。一方で、ナビゲーション利用の被験者はネガティブ感情が最も低く抑えられ、標準偏差の値も小さく、個人差が小さい均質性が明らかになった。逆に「超不便-自力群」は最もネガティブ感情が高く、個人間のバラツキが大きい特徴が示された。

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