2023 年 34 巻 2 号 p. 85-92
本研究は、不便が観光者のポジティブ感情にどのような影響を与えているかについて検証し、情報技術と観光者の心理状況の関係性について考察するものである。調査では、埼玉県川越市で被験者22名を「便利-スマートフォン利用群」、「不便-地図利用群」、「超不便-自力群」の3群に分けて街歩きの実験を行い、直後に質問票調査を行った。その結果、地図利用と自力の被験者は、スマートフォンのナビゲーションを利用した被験者に比べてポジティブ感情が高く、不便が観光者のポジティブ感情にプラスの作用をしていることが示された。一方で、ナビゲーション利用の被験者はネガティブ感情が最も低く抑えられ、標準偏差の値も小さく、個人差が小さい均質性が明らかになった。逆に「超不便-自力群」は最もネガティブ感情が高く、個人間のバラツキが大きい特徴が示された。