2023 年 35 巻 1 号 p. 53-64
芸者町は全国に多数存在したが、それらの成立経緯や空間的・建築的特徴、社会構造等に踏み込んだ研究は手薄である。本研究では、京都府宮津市の新浜を対象に事例的検討を行う。宮津は、近世の城下町及び港町を母体に、織物の生産・供給地の中核都市として発展し、かつまた名所・天橋立を擁するゆえに観光業で支えられてきたまちである。このような特徴をもつ地方都市における芸者町の空間史と建築について、地籍図、土地台帳、古写真、建築の実測調査、関係者への聞き取り等から総合的に検証し、明らかにする。その過程では同時に、新浜の前史である近代の貸座敷(娼妓)営業地及び近世の廓としての具体像も考察する。