2024 年 36 巻 1 号 p. 37-46
ガストロノミーツーリズムは、「食」の幅広い側面を対象とする観光であり、農山漁村の活性化に有効な手段となりうる。筆者らは、ウエルネスの視点からガストロノミーウォーキングによる観光地域づくりの可能性に注目し、フランスのアルザス州バール村と鳥取県湯梨浜町の事例について調査を行った。その結果、「充実した飲食」「他者との交流」「自然・景観」を評価していることがわかった。そこから、観光地域づくりにつなげる視点として、食の背景であり交流の舞台としての景観づくりと、地域性の高い飲食の十分かつ適切な提供、そして地域全体の協力体制の構築が必要であることを明らかにした。