抄録
本研究は,看護師の人口学的特性ならびに個人特性と職業キャリア成熟の関連性を明らかにすることを目的とした.調査には1,347人の看護師が参加した.調査内容は人口学的特性(年齢,性別,看護師としての勤務年数,現施設での勤務年数,看護教育課程),個人特性(職業的アイデンティティと看護経験に対する認知的評価としての職業経験の質),及び職業キャリア成熟で構成した.本研究では,職業キャリア成熟を従属変数に,その一次要因を個人特性,二次要因を人口学的特性とする因果関係(間接モデル)を構築し,構造方程式モデリングを用いてそのモデルのデータに対する適合性を検討した.その結果,前記モデルがデータに適合した(CFI=0.953,RMSEA=0.049).因果関係モデルでは,特に,職業的アイデンティティが職業キャリア成熟に強く影響し,また職業的アイデンティティには職業経験の質が強く影響していることを示していた.今後は看護師のキャリア発達にとって職業的アイデンティティの形成に着目する必要性が示唆された.