日本救急医学会雑誌
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症例報告
Candida glabrataが検出されたフルニエ壊疽の1例
松本 寿健西村 哲郎大西 光雄若井 聡智定光 大海
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2014 年 25 巻 2 号 p. 43-49

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抄録

フルニエ壊疽は比較的稀な疾患であり,そのなかでも真菌がその起因菌であったとする報告は稀少である。今回,我々はCandida glabrataが起因菌のひとつと示唆されるフルニエ壊疽の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は69歳の男性。排尿困難があり,自ら外尿道口にストローを挿入した。その2日後,陰部が著明に腫脹したため前医を受診したところ,フルニエ壊疽と診断され,当院に転院搬送となった。来院時,意識はほぼ清明で呼吸数31/分,脈拍122/分,血圧118/78 mmHgであった。会陰部を中心に体幹から両側大腿中央まで発赤・腫脹・皮下気腫を認め,会陰部切開部から酒粕様の臭気を認めた。逆行性尿路造影検査で尿道損傷の所見が得られた。抗菌薬投与に加え,会陰部を含む病巣の切開排膿を行い,デブリードマンと洗浄を連日行った。入院後の経過は良好で,第46病日には会陰部に一部皮膚欠損を残すものの,ほぼ治癒した。本症例は既往として未治療の糖尿病があり,Candida glabrataが初日の創部排液から検出されたことからCandida属に起因したフルニエ壊疽である可能性が示唆された。患者が糖尿病などの易感染性宿主の場合,フルニエ壊疽の起因菌として真菌も考慮する必要がある。

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