日本救急医学会雑誌
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症例報告
気管挿管時にエアウェイスコープ®が有効でなかった薬剤性アナフィラキシーの1症例
大井 康史古郡 慎太郎酒井 拓磨松本 順矢澤 利枝古谷 良輔伊巻 尚平
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2014 年 25 巻 5 号 p. 229-232

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抄録
症例は74歳の男性。レボフロキサシン内服後にアナフィラキシー症状による気道狭窄を認めたため,近医より救急搬送となった。喉頭浮腫による気道閉塞が予測されるためdifficult airway management(DAM)アルゴリズムにそって準備を行い,気管挿管を選択した。初めに直視型喉頭鏡で行ったが,喉頭蓋周囲の腫脹のため喉頭展開ができなかった。次に代替えの挿管手段としてエアウェイスコープ®(AWS)を選択したが,喉頭蓋およびその周囲の喉頭粘膜が腫脹しており,鎮静によって沈下した舌根を持ち上げる際に腫脹した喉頭粘膜がcharge coupled device(CCD)先端に付着し視野を得ることができなかった。AWSを口腔内で少し引き抜くと喉頭蓋付近を確認することができた。AWSを引き抜いた状態で気管挿管することは困難であったため再度直視型喉頭鏡を使用し,喉頭蓋に気管チューブを沿わせ挿管することができた。今回薬剤性アナフィラキシーによる喉頭浮腫が予想された症例に対して,AWSを使用したにもかかわらず,気管挿管ができなかった。AWSはその特徴から,気管挿管困難症例での代替えの手段として使用されていることが多いが,解剖学的異常によってCCD先端に粘膜が付着することで高い視認性を失い,気管挿管が困難になる可能性があることに留意する必要がある。
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© 2014 日本救急医学会
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