日本乳癌検診学会誌
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原著
マンモグラフィ乳癌検診(2年間隔)の利益リスク分析
―罹患数モデルとBEIR VII報告による再評価―
飯沼 武
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2012 年 21 巻 2 号 p. 164-168

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抄録
乳癌検診ではマンモグラフィをスクリーニング検査として利用するため,その放射線によるリスクを考慮する必要がある。本研究では,以前に筆者らが行ったマンモグラフィ乳癌検診の利益リスク分析の再評価を行った。今回は日本の乳癌検診が2年間隔,40歳代が二方向,50歳以上が一方向撮影であることに加えて,さらに,ICRPの新しい乳腺の組織加重係数とLNT仮説による致死的発癌のリスク係数として米国のBEIR報告の数値を用いて計算を行った。最終的に,リスクは損失余命として1回の検診を受けると生涯に失われる余命で表わした。一方,検診の利益は検診の結果生ずる乳癌の病期分布の改善から,救命数を算出し,それにその年齢の平均余命を乗ずることによって,獲得余命として求めた。これは1回の検診によって得られる余命の延長として表わした。結論として,年齢階級別に利益/リスク比を算出し,それが1.0を超える年齢を明らかにした。結果は日本の乳癌検診では25歳で1.0を超え,それ以上の年齢ではマンモグラフィ検診が正当化されることを明らかにした。ただし,受診対象年齢の決定に際しては,費用効果分析が必要であることを強調したい。
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© 2012 日本乳癌検診学会
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