日本乳癌検診学会誌
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乳房超音波併用検診の精度管理
乳癌検診における超音波検査実施者に対する精度管理
白井 秀明
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2012 年 21 巻 3 号 p. 237-241

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抄録

乳がん検診の有効性を評価するためには全国で標準的な検査法と共通の判断基準が必要である。この度,乳房超音波検診精度管理委員会の検討項目のうち,超音波検査実施者の精度管理について委員会で行ったアンケート結果を基に報告する。対象は2010年に開催されたJABTS教育委員会主催の乳房超音波講習会において9回アンケート調査を行ったうち,技師対象の6回とした。(茨城県(48名),岡山県(48名),東京都(48名),宮城県(47名),愛知県(48名),栃木県(48名)のうち検診施設ではない126施設を除いた162施設を対象とした。)1.資格:超音波検査実施者,判定者に関しては,乳房講習会を受講し,そこで行われる実力評価試験に於いてB判定以上の受講者に資格を与えていくことを提案するが,検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師の人数と比較して,圧倒的に検査者数が不足していることが認識された。今後は,人数確保のための対策を考えなければならない。2.検査方法:基本的な検査方法は,学会での実技指導や講習会などで行っている方法に大差はないと考える。今後の議論すべき点として挙げられることは,検査実施者がどこまで判定するかという点である。3.検査時間・人数:検査時間は,両側乳房の走査にかける時間を最低でも5分以上としているが,検者の習熟度によってはそれ以上の時間を確保し,1日に一検者が検査する人数は40名を超えないようにすることを推奨している。また1時間の検査数は検者1名あたり8名を目安とし,連続1時間検査を行った場合10分程度の休止時間を設け,1日の検査時間は5時間を限度とする。たとえ休止時間を設けても3時間以上連続して検査を行わないようにする。

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© 2012 日本乳癌検診学会
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