乳癌の患者数は年々増加しており,それに伴い死亡数も増加している。そのため二次予防である早期発見,早期治療を目指した乳癌検診に対する期待と意義は非常に大きいと考える。近年,乳房超音波検診の導入について,有効性に対する比較試験が実施されており,検診における精度管理はとても重要である。超音波検診のシステムとして,1人の医師が走査と判定を行う場合と,技師が走査を行いその画像を医師が判定する二つの方法が挙げられる。走査をする際には病変を落とさないように心掛け,その多くの所見の中から精査の必要のない症例を落とすことが判定者に求められる能力である。この指標が要精検率であり,検診効率や医療経済にも関わる数値である。千葉県では平成14年より乳房超音波検診を開始し,当初は10%を超えていた要精検率が最近は3%台を維持している。判定者として効率の良い検診を実施するためには,静止画を撮像する技師とのコミュニケーション,信頼関係はもちろんのことであるが,技師の育成やトレーニング,超音波検診のシステムを構築する力量も必要である。このスキルに相応しい資格は,医師であること以外,学会の専門医,講習会の修了が挙げられるが,これらはスタートラインに立つための最低限であり,どれも十分とは言えない。超音波検診を精度高く,効率よく行うには,この判定者が読影のみの精度管理に徹するのではなく,技師の育成を含めた広い視野を持って検診業務に当たる必要がある。