日本乳癌検診学会誌
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乳がん検診の新たなモダリティ展開
乳房専用PET装置を用いた乳がん検診
川本 雅美
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2014 年 23 巻 2 号 p. 280

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抄録
従来の全身用PET,あるいはPET/CTでは,径1センチ以下の小さな乳癌の検出・評価には限界がある。全身用PETの空間分解能,呼吸性移動による検出能の低下,健常な乳腺組織への生理的なFDG分布などが主たる原因であるが,これらの課題を克服すべく,開発されたのが乳房専用のPET装置である。乳房が体表面に位置していることを最大限に利用した装置であり,検出器により乳房を固定,あるいは腹臥位で撮像することにより呼吸性移動を低減させ,検出感度の向上をはかっている。 さらに乳房のみを時間をかけて撮像することで,乳腺内のFDG分布を詳細な画像として得ることができ,健常部と病変部のコントラストが明瞭に描画される。 当施設ではマンモグラフィのように2枚の平板状の検出器で乳房をはさんで撮像を行う対向型の乳房専用PET 装置を乳癌の診療に用いている。マンモグラフィや造影MRIと同程度の感度・特異度を有する乳房専用PETは乳癌の検診においても有用な手段になると考えられる。
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© 2014 日本乳癌検診学会
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