マンモグラフィを用いた乳がん検診の不利益(偽陽性・偽陰性)を減少させて乳がん検診の利益 (乳がん死亡率減少効果)を増加させる方法として,マンモグラフィと超音波検査の“併用乳がん検診” を施行して,各々の所見を総合的に判断する“総合判定”が望ましいと考えられる。2010年4月から 日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)において総合判定基準の検討がなされ,その内容は2012年10月の日本乳癌検診学会誌に「マンモグラフィと超音波検査の併用検診における総合判定基準」として掲載された。そして,J―START試験の結果以前に任意型検診を中心にマンモグラフィと超音波検査の併用検診が日本で広く行われている現状から,総合判定の検証と教育が必須かつ急務であることが日本乳癌検診学会研修委員会で議論された結果,2013年4月に総合判定を実際に運用する際の問題点や精度管理に関する検討を行うことを目的とする日本乳癌検診学会総合判定委員会が誕生した。本稿では同委員会で作成された「マンモグラフィと超音波検査の総合判定マニュアル」を基に,総合判定における医師や技師に対する教育の課題について述べる。