日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
乳腺病変に対する検診時と精査時のエラストグラフィ判定の相違について
染谷 朋子 向井 理枝塚本 徳子鵜澤 郁子香苗 弓場剱 さおり河内 伸江森下 恵美子角田 博子
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2017 年 26 巻 1 号 p. 85-92

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抄録

エラストグラフィを施行する際,検診と精査時で評価に差がないかどうかを検討した。対象は2012年1月から2013年6月までに検診超音波検査(US)を施行し要精査となり,検診から1年以内に病院で精査US を施行した症例である。良性は15例,悪性は検診からさらに4カ月以内に絞り38例を対象とした。検診と精査で同病変のElasticity Score(スコア)を比較し,検診より精査でスコアが高かったものを高,変わらなかったものを不変,低かったものを低と分類した。検査は検診ではUS に習熟した臨床検査技師,精査では医師,診療放射線技師,臨床検査技師が行った。検診・精査のいずれも日立メディコ社製の同じ原理の装置を使用した。良悪性別に検診と精査のスコアを比較した結果,乳癌は38例中,精査時で高く評価したもの30例,不変7例,低かったもの1例と,高く評価したものが79%を占めた。良性15例では,高いものが3例,不変9例,低く評価したもの3例と,検診から精査でスコアはほとんど変化しなかった。乳癌と診断されている病変にエラストグラフィを施行すると,検診時よりもスコアを高く評価していることがわかった。検診時と精査時で判定に差が生じる理由として,検査環境や静止画像の選び方,検査時の心理的影響などが関与しているのではないかと考えられ,あらためて手技の精度管理が重要と考えられた。

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