日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
異なるディジタルマンモグラフィシステムにおける画像描出の相違に関する検討
大幡 里奈 小寺 吉衞
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2017 年 26 巻 1 号 p. 73-84

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抄録

異なるディジタルマンモグラフィシステムで撮影した画像の比較読影において,画像描出の違いにより乳房内の経時的変化の観察に影響が生じる場合があると考え,ファントム画像による観察実験を行い検証した。 間接変換型FPD マンモグラフィ装置(以下System a)とCR マンモグラフィ装置(System b)を使用した。ACR ファントムワックス部をPMMA ファントムで挟んで厚さ30~70mm 計5種類の被写体とし,各システムの臨床撮影条件で元画像と画像処理画像(処理画像)計20枚を作製した。「撮影装置が同じ元画像と処理画像の組合せ」と「撮影装置が異なる元画像同士または処理画像同士の組合せ」計20組を用いて観察実験を実施した。検診マンモグラフィ認定技師5名が5M 高精細モニタで画像を観察し,ファントム内試料の視覚評価と撮影システムの判別を行った。 同じシステムの元画像と処理画像の視覚評価では一部の組合せを除き,模擬試料の検出結果に差はなかった。一方,異なるシステムの比較ではすべての組合せの60%でSystema がSystem b より評価が高くなる傾向を示し,画像処理だけでなく撮影装置固有の物理特性の違いによる描出能の差が点数差として現れたと考えられた。また観察者はすべての組合せの約80%で模擬試料の見え方からシステムの違いを判別し,画像描出の相違が同じ被写体の変化を観察する上で問題となる可能性が示唆された。 読影者と撮影者はシステム間の描出能の差について事前に情報共有する必要があると考える。

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