2022 年 31 巻 1 号 p. 21-24
2018年に国が策定した『がん対策推進基本計画』では,医師やがん患者・経験者等の外部講師を活用し,子どもにがんの正しい知識やがん患者・経験者の声を伝えることが重要であるとされている。これを受け,『新学習指導要領』に『がん教育』が明記され,中学校では2021年度より全面実施されることとなった。新潟県健康づくり財団では,2014年度より中学生に対するがん教育の一環として,「がんについての基礎知識」「早期発見・早期治療の重要性」「検診受診の重要性」をテーマに講演会を実施してきた。2014年からこれまでに39校,約5,700名が受講,2020年度は希望のあった10校で開催した。講演はがん診療拠点病院等の医師により行われ,講演の前後で生徒達にアンケートを施行した。2020年度のアンケート結果(有効回答数994)では,「がんは早期発見すると治癒する確率が高いと思うか?」に対し,「思う」との回答が講演前後で77.8%から92.1%(1.18倍)に上昇,「がん検診を受けてみようと思うか?」に対し,「思う」との回答が54.8%から88.8%(1.62倍)に上昇するなど,『がん』や『検診』に対する中学生の意識が講演の前後で変化していることがわかった。日常生活のなかで実践すべきブレスト・アウェアネスの普及には,がん罹患年齢層のみならず,その前段階にある若い世代に向けて啓発することが重要かつ効果的と思われる。