抄録
厚労省の班研究「乳がん検診の適切な情報提供に関する研究」から,「偽陰性例の対策の一つとして,2年に一度定期的に検診を受診することに加えて,ブレスト・アウェアネス(以下B・A)の啓発を推進すること」が提唱された。厚労省の指針に取り込まれ,B・A は「乳房を意識する生活習慣」と定義されている。
認定NPO 法人乳房健康研究会がB・A の普及活動を行うにあたり,活動の成果を測定するスケールが必要である。その一歩として,乳がん検診受診対象者にとって,B・A とはどのようなものなのかを知る目的で,全国の20歳から69歳の一般女性(乳がん経験者を除く)約1,450名を対象にしたインターネット調査を実施した。
調査時点(2022年10月)でのB・A の認知率は6.8%。B・A の【4つのポイント】に対応した質問では,①「自分の乳房の状態を知っているか」②「乳房を知るために実践していること」③「変化に気づいたとき,どうするか」④「検診受診状況」等をたずねた。結果は認知率をはじめ,実践面でもB・A に関わる自覚や行動は低調であった。
今回の調査ではさらに意識レベルの認識をさぐる因子分析を行った。その結果B・A の行動を規定する概念として3つの因子が抽出された。最もインパクトの大きいのは「なにげない日常」の行動を示す因子だった。すなわちB・A は既に女性の日常の中に存在するのである。これを肯定し,顕在化させることが普及の一歩と考える。