2023 年 32 巻 2 号 p. 165-167
放射線は医療において診断や治療にも不可欠な存在であり幅広く利用されているが,その反面,医療被ばく線量の増加が懸念される。40歳代からのマンモグラフィを用いた乳がん検診では被ばく線量には注意が必要である。更には,Digital Breast Tomosynthesis といった高性能な機能を搭載したマンモグラフィ装置も出てきたことからも,被ばく線量の増加も懸念されている。この医療被ばくの最適化を実現させる手法としてICRP(International Commission on Radiological Protection1))では診断参考レベル(DRLs:Diagnostic Reference Levels)を用いることが推奨され,我が国では2015年度から適用されてきた。このDRL 値は5年ごとに見直しがなされており,現時点での最新のDRL 値はDRLs2020となる。この値がどのように決定されているのか,どのように運用していくのかをこのシンポジウムを通じてわかりやすく解説したものである。