日本乳癌検診学会誌
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第32回学術総会/シンポジウム3 乳癌検診における被ばく
マンモグラフィ撮影による臓器・組織の被ばく線量について
中村 登紀子
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2023 年 32 巻 2 号 p. 169-171

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抄録
マンモグラフィ撮影において,医師,診療放射線技師や看護師が被ばくに関する情報を把握していることは,被ばくについての不安がある受診者に対して適切に対応することができるため,大変有益だと考える。マンモグラフィ撮影における被ばく線量は約2mGy と非常に微量なため,受診者に被ばく線量について質問されたとき,「被ばく線量は少ないから大丈夫」と回答することは間違いではないと思う。しかし,説明をするためにはもう少し詳しく被ばく線量を理解していることが必要である。 マンモグラフィ検診の対象者には妊娠を意識している女性が多くなっている。そのため,マンモグラフィ撮影時の被ばく線量を把握し,特定の期間に受ける被ばく量によってのみ胎児への影響が生じることを覚えておく必要がある。 マンモグラフィ撮影時の各部位の被ばく線量の測定結果から,明確な情報を提供すると共に,胎児への影響はほぼないことが明らかとなった。しかし,被ばくという言葉は受診者にとって精神的に負担になることもある。診療放射線技師は,マンモグラフィ検診における被ばく線量を最小限に抑えるための技術と知識を持っている。受診者の安全を最優先に考え,被ばくに関する不安や疑問に真摯に対応し,適切な説明とサポートをすることが求められる。 この被ばく線量の測定結果を通じて,受診者への説明とのコミュニケーションに役立て,被ばくに対する理解を深めることが重要となる。
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