日本乳癌検診学会誌
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第33回学術総会/シンポジウム1 持続可能な乳がん検診
精査側からみた持続可能な乳癌検診の課題
角田 博子
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2024 年 33 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

精査側からみた持続可能な乳がん検診の課題について,検診施設との連携,精査施設自身およびその地域の課題,精査後の対応の課題の3つにわけて私見を述べた。検診施設との連携においては,まず検診施設の精度が精査施設の負担に大きく影響することを念頭におき,検診施設自身の精度管理を行うこと,また要精検者に関しては検診時の比較を含めたデータと判断を正確に精査側に伝達することも極めて重要である。遠隔診断の普及は望ましいが,的確な読影に関する規制は今のところ不十分である。日本乳癌検診学会での遠隔診断のガイドラインのバージョンアップは行われておらず,今後を期待したい。精査施設においても精度管理が重要なことは変わりないが,医療者のマンパワー不足をどうカバーしていくかはすぐに解決するのは難しい。また地域の受診者が精査機関を受診する交通手段の確保など,地域行政や公的支援も必要であろう。3つめの精査後の対応については,特に非癌となった所見についての経過観察をどう行うかが課題と考えられる。所見によってもかなり異なるものと考えられるが,不必要な精査施設での経過観察は避けたい一方で検診に戻すと再び要精検となる可能性が高いというジレンマがある。課題は多く,すぐに対応できるものから医療以外に関連するものまで多岐にわたる。一つずつ地道に解決していくことが検診の持続を可能にするものと考えられる。

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