日本乳癌検診学会誌
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第33回学術総会/シンポジウム1 持続可能な乳がん検診
婦人科検診で目指す持続可能な乳癌検診
宮﨑 千恵子
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2024 年 33 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

乳がんは女性特有の病気と認識されているため,自覚症状がある際の相談先が産婦人科になる場合がある。また子宮がん検診と乳がん検診をセットにして「婦人科検診」と称されることも多い。当院では受診する患者のニーズに背中を押される形で,2005 年から産婦人科医師1 人で対策型乳がん検診(マンモグラフィ2 方向+視触診)を開始した。担当する産婦人科医師が,精中機構のマンモグラフィ読影認定,撮影技術認定を取得,自ら撮影した画像で施設・画像評価認定を受け更新を重ねてきた。2 重読影のみ,院外のマンモグラフィ読影認定をもつ医師に依頼し,対策型検診は今年19 年目に入った。診療や対策型以外の乳がん検診のために精中機構の超音波検査実施・判定医師認定も取得し検査を行っている。直近の2022 年度の対策型乳がん検診の結果は,受診者880 名,要精検率3.5%,精検受診率100%,がん発見率0.3%,陽性反応的中度9.7%であった。直近2021 年度と2022 年度の2 年間の受診者1741 名について,検診発見がん症例の内訳と検診履歴,受診者の当院初診時の受診動機と反復受診回数について分析した。当院の結果からは,クリニックが行う婦人科検診が継続的な受診を促すことにつながり,乳がん検診と子宮がん検診両方の受診率向上に寄与することが示唆された。最後に,婦人科検診で乳がん検診の裾野を広げていくにあたっての課題について述べる。

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