日本乳癌検診学会誌
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第33回学術総会/シンポジウム1 持続可能な乳がん検診
~健診機関の立場から~
江藤 秀一
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2024 年 33 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

がん検診,特定健診の受診率向上を目指し,市町村や各医療保険者が様々な取り組みを行っているが,受診率が伸び悩んでいる。この課題解決のためには,受診者の目線に立って,「医療保険制度の枠を超えた取り組み」と,地域・職域の連携が重要であると考える。  そこで,2017 年より,新たな健診事業「あんさんぶる」に取り組んでいる。あんさんぶる事業とは,地方自治体,各医療保険者,団体,企業,健診機関が連携を図り,実施(主催)者の枠を超えた各種がん検診,特定健診等を実施するものである。本事業は,地方自治体,各医療保険者,団体,企業へ協力要請を行い,それらの健診に関わるノウハウや様々なデータを用いることで実現している。  また,2018 年より,福岡ソフトバンクホークス公式戦での乳がん啓発イベント「ピンクフルデー」において,乳がん検診及び啓発活動に取り組んでいる。当事業は,野球観戦「ついで」に,乳がん検診を受診することができ,「あんさんぶる」事業を組み合わせることで住民健(検)診として安価に受診できる,受診者目線での事業である。    今後の「あんさんぶる」事業の拡大推進のためには地方自治体の協力が必要不可欠である。  健診機関では解決できない「契約」・「統一化」・「費用負担」の課題について,都道府県の協力を得て,都道県単位での取り纏めが必要である。一見すると課題解決が困難と思われるが,「広域化契約」が実現すれば解決は容易であると考える。

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